映画「パシフィック・リム」感想
Twitterで話題になっていたので観た。
深海に突如として異世界とつながる「裂け目」が出現し、そこから謎の「怪獣」が現れて世界の都市を破壊し始める。 人類は「怪獣」に対抗するため人型ロボット「イェーガー」を建造し、「怪獣」と十分に戦えるだけの力を得る。
イェーガーは人間が制御系と神経接続することで動かすが、1人では脳にかかる負担が大きすぎるため、通常は2人で操縦することになっている。 この設定を見たとき、どう見てもエヴァQのMk-13なので笑ってしまった。 しかし逆に、こういう設定が現代を舞台とした物語で使えるほど、ブレインインターフェースというのは身近になったんだなぁという感慨もある。
イェーガーと「怪獣」の戦闘シーンは大迫力で良かった。 金属質なロボットと、硬い殻に包まれた肉のぶつかり合いがうまく表現されていたし、コクピット内も操作に必要そうな機械はひと通りちゃんと描写されていた。 町中での戦闘は容赦なく建物を壊しまくっていて爽快感がある。 ロボットはお約束通り、プラズマガンとか、ミサイルとか、冷却ガスとか、剣とか、無駄にいろいろ装備を積んでいて熱い。必殺技はロボットの醍醐味。 あと、ところどころに入る漫画っぽい描写も良い。タンカーを持って怪獣に殴りかかっていくところとか、ドクターがシェルターの中で周りの人に引かれるところとか。
一方、ストーリーを全体として見ると、色々と詰めが甘い気がした(そもそもロボット vs. 怪獣がやりたかっただけなんだろうし、その点は手放しで褒められるレベルの素晴らしい出来だけど)。
「裂け目」に核爆弾を落として破壊するという方法が、劇中では最有力な方法と思われていたのにラストになって瑕疵が見つかる(ちゃんと考えた上での作戦じゃなかったのか)とか、
ハンニバルが何か握ってそうな雰囲気を醸しだしていたのに、結局何もしないで終わってしまったとか。
他のロボットの扱いも割とひどい。特にロシアの「チェルノ・アルファ」。チェルノって。
いや、チェルノ自体は普通の単語なんだろうけど、ロボットのデザインも適当(なんか原子力プラントみたいな頭が載ってる)だし、
戦闘で「怪獣」にやられた時に「原子炉に水が!」というセリフまで吐かせていて、ブラックジョークすぎて笑ってしまった。
あと、ラストで主人公機の「ジプシー」が動力の原子炉をメルトダウンさせて「裂け目」を破壊するところ。
原子炉はメルトダウンしても核爆発はしないはずなんだが……。
総評。 日本のロボットアニメを、ハリウッドの技術力と演出で実写にしたという感じ。 監督がよっぽどロボット好きなんだろうなぁ、ということ以外に何もメッセージ性もなく、純粋にロボットの大暴れを見られるという点で素晴らしい映画だった。