Web広告のパーソナライゼーションを切る

しばらく前からWeb広告のパーソナライゼーションを切っている。きっかけは井上純一さんのこのツイート。ちょっと前だと思ってたけどもう2年半も前か……。

ツイートが消滅したときのために要約しておくと、広告に対して個人に向けたパーソナライズなど期待しておらず、Web広告であっても物理的な広告と同じく、その時の社会で流行っていたり売りたいものを表示してほしいという主張がなされている。当時の自分もWeb広告が同じような商品ばかり出してくる状態に辟易していたのだが、このツイートを見て、パーソナライゼーションの問題だと思うなら設定でオフにできるなと気付いたので試すことにした。

実際にパーソナライゼーションを切ってみると、思った以上にWebの体験が向上した。まず、広告のバラエティが増えて息苦しさがなくなった。パーソナライゼーションが有効なときは興味のあるジャンルの広告ばかり出てくるが、そういうジャンルの情報は広告と関係なく常に収集しているため、広告のジャンルまでその方向に寄せられると常に同じ情報に触れているように感じて疲れてくる。特にコンピュータ系の広告は商品の見た目も似ているものが非常に多かったり、商品のバリエーションがそもそも少なかったりするため、インターネットのそこかしこで同じような広告を見る羽目になるのでストレスが溜まってくる。パーソナライゼーションを切ることで、広告される商品の幅が広がったことにより、同じ情報ばかり見せられて辟易するということがなくなった。

また、明確に興味のない広告が増えることで、広告に心をかき乱されることが減ったのもかなり良い効果だった。興味のあるジャンルの広告というものは、多少なりとも購買意欲をかき立てられるもので、Webサイトにアクセスするたびにそのような広告を見せられていると、無意識のうちに注意を広告に割いてしまったり心を動かされたりという精神的な動きを強制されるため、やはりだんだんと疲労がたまってくる。意図的にこのような反応を引き起こそうとしてくるターゲティング広告というのは暴力的ですらあるが、パーソナライゼーションを切ることでこのような広告から精神を守ることができる。

精神的な動きというとエロ広告が最たるものだが、パーソナライゼーションを切るとほとんど表示されなくなるのも大きな効果だと感じた。どうも成人男性で性的コンテンツに興味があるとみなされると何らかのホワイトリストに入るようで、あちこちのWebサイトでエロ漫画の広告を見るようになる。こういう広告はたとえ興味があったとしても、意図しないタイミングで目にするのは大変不快なものだし、広告側もTPOをわきまえず、こちらが電車内にいようと喫茶店にいようとお構いなしにエロ広告を出してくる。パーソナライゼーションを切ることで、この類の広告をほとんど目にすることがなくなるのは非常にうれしい。

パーソナライゼーションを切る方法

広告のパーソナライゼーションを切る方法はいくつかある。

YourAdChoicesの提供する一括オプトアウトツールを使う

アメリカの企業でDigital Advertising Alliance (DAA) に加盟しているものに限られるが、一括でパーソナライゼーションを無効化するためのツールがDAAから提供されている。

https://optout.aboutads.info/

このツールを使うと現在使っているブラウザでは広告がパーソナライズされなくなる。複数のブラウザやデバイスを使っている場合、それぞれの環境でこのツールを使ってオプトアウトする必要がある。

各広告ネットワークで明示的にオプトアウトする

アカウントを作るタイプのサービスが広告ネットワークも提供しており、かつ自分がアカウントを持っている場合には、サービスの設定でパーソナライゼーションを無効化することができる。この方法なら複数のブラウザやデバイスをまたがっても、そのアカウントでログインしている限りはパーソナライゼーションが無効化される(はず)。有名なサービスでオプトアウトの設定があるページへのリンクをいくつか下に示す。

Third-party CookieやFingerprintingをブロックする

広告ネットワークに自分の行動を追跡されなければパーソナライズもされようがないので、トラッキングに利用されるThird-party CookieやFingerprintingをブロックすることでも効果が見込める。最近のFirefoxはデフォルトで各種トラッキングをブロックするようになっている。

サービスの有料会員になる

サービスがなぜ広告を出すかというと、広告から収益を得るためである。YouTubeやニコニコ動画を初めとして、有料会員になることで広告を消すことができるケースは結構ある。よく使うサービスであれば、そのサービスに対価を直接支払うことでそもそも広告を見なくて済むようにするという選択肢も考慮したい。